メンマが苦手なライター、ゆうせいです。今日は塩ラーメンを食べたら20年前の記憶がよみがえった話をしたいと思います。
脳科学者でも何でもないので、医学的なことは何ひとつ言えるわけではありませんが、音楽とか香りで記憶がよみがえるとかって話があるじゃないですか。
で、それって料理とか味とかにも言える話だと思ってまして、実際に塩ラーメン食べたらよみがえったんですよ、20年前の記憶が。
話は20年前にさかのぼります。私は大学生で、家の近所のTSUTAYAでアルバイトをしていました。
通っていた高校がバイト禁止だったので、実質まともなバイトはこれが初めてで、そこで出会った8歳年上のNさん(男)は、優しさの塊みたいな人でした。
映画の知識も豊富で、洋画、邦画、そしてアニメをいろいろ紹介してくれました。バイト終わりにはNさん宅で朝まで映画を見るなんてこともよくありました。
クレーマーみたいなお客も華麗に対応し、最後には笑顔で帰ってもらう素晴らしい接客。後輩がミスをしても責めずにカバーしてくるなど、理想の先輩でした。
でも、
ラーメン屋でキレたんですよ。
優しかったN先輩が。
事件はらあめん花月で起きました。バイト終わりにみんなでファミレスに行ったり、ラーメンを食べて帰ることが多かったのですが、らあめん花月もそのひとつでした。
給料日のあとに行くときは、いつもの塩ラーメンに餃子とライスをつけるみたいな、ごくごく普通の楽しみ方で、時には映画の話をしたり、または音楽の話をしながら盛り上がったものです。
でも、とある日、Nさんが頼んだ塩ラーメンに問題が発生しました。
味が一切しないのです。
ただのお湯。脂がたっぷりと浮いたお湯だったのです。
原因はすぐにわかりました。お店の人がスープに “塩” を入れるのを忘れたのです。
でも、Nさんは信じられないほどキレて、
「なんだこのラーメン!味がまったくしないじゃないか!」
と店員さんにまくし立てたのです。
店員さんも最初は大したことないと思っていたのか、
「あら?塩を入れるの忘れちゃったかな?ごめんごめん」
みたいなフランクな対応。しかしこれがまずかった。ラーメンもまずいが、この対応が本当にまずかった。
普段は温厚な人って、キレるとめちゃくちゃ怖いじゃないですか。Nさんもご多分に漏れず、完全なるそのタイプでして、バイト終わりのラーメンを何よりも楽しみにしていたこともあって、尋常じゃないほどのキレっぷりでした。
「塩を入れ忘れたとか、そんなことを聞いているんじゃない、味がしないと言っているんだ!ちょっと食べてみろよ!」
と、ラーメンのどんぶりを持って厨房に詰め寄る勢いだったので、私はここはなんとかするしか無いと思い、自分の塩ラーメンを差し出しました。
でも、私の塩ラーメンにはNさんが大嫌いなネギがたっぷりと入っていて…もはやNさんにとってはラーメンではなく、でっかいネギだったので却下されました。
そんなこんなをやっているうちに正しい塩ラーメンがやってきたのでNさんも落ち着いたのですが、ラーメンには人をこんなにも狂わせる力があるのかと思い知った夜でした。
Nさんのキレる姿を見たのは、これが最初で最後でした。
ということを思い出したんですよ!たった一杯の塩ラーメンを食べたことで。
Nさんは元気かなぁ。今は何をしているんだろうか。いつかどこかで再開したら、塩ラーメンをごちそうしたいと思います。
それではまた。ご存じ、ゆうせいでした。